新年あけましておめでとうございます。新型コロナウイルスの状況が気がかりではありますが、皆様お揃いで穏やかな新年をお迎えのこととお喜び申し上げます。旧年中は従前のような組合活動が思うようにできず、組合員の皆様には大変ご迷惑をおかけいたしましたが、そんな中でも様々なご支援ご協力を賜り心より御礼申し上げます。徐々に状況は好転していくと思いますので、本年もなお一層のご尽力を賜りますようお願い申し上げます。
昨年の神奈川印刷ニュース新年号の私の挨拶を読み返してみますと、2019年のラグビーW杯の大成功に続き、東京オリンピックで世界から日本が注目されることに期待し、興奮している様子が窺えます。あの時点でまさかこのようなことになろうとは思いもよりませんでした。世界規模で経済が停滞するという近年でも稀に見る惨事となってしまったことに戸惑いを隠せません。
全印工連や業界紙のアンケート調査によりますと、来期以降の売上規模が2019年比で20〜30%減という回答が多いようですので、そこから推計しますと2021年度の印刷・同関連業の出荷額は4兆円を割り込むのではないかと危惧されます。全印工連が2016年に発行した『全印工連2025計画〜新しい印刷産業へのリ・デザイン〜』では、中位推計で2025年に3兆9600億と予測していましたので、4、5年前倒しなるという計算です。
もとより印刷物はデジタル化による変革の真っ只中に位置付けられておりましたので、昨年から今年にかけて印刷業界がかなりの急激な変化に見舞われるのは疑いようのないことです。我々はしっかりと社会のニーズを見極め、お客様の期待に応え得る商品やサービスを引き続き提供していくしか、この大変化を乗り切る方策はないといえるでしょう。
しかしながら、この1、2年に起こる変化は確かに激しく急激なものではありますが、予測不可能なものではありません。『全印工連2025計画』ではこのようなイレギュラーな事件が起きなかったとしても、2025年には出荷額が4兆円を割り込むことは予測していますし、そのために我々印刷会社が何をしなければならないのかということは、その前に出版された『印刷道』でも明確に提言がなされています。この先の自社の戦略、事業の方向性に不安を持たれている方は、今一度全印工連発行の書籍を読み返していただき、事業戦略の方向性を明確にしていただきたいと思います。すでに次の戦略が明確になっている企業の皆さんは、印刷組合が提供するセミナー、共同購入プログラム、共済などを大いに活用していただき、事業効率をさらに高めていただきたいと思います。
事業効率の向上という面では、今年はいよいよ全印工連のDX(デジタルトランスフォーメーション)プラットフォーム、その名も「DX-Plat」の試験運用が始まります。ご興味のある方は是非試験運用にもご参加いただき、システムのブラッシュアップにご協力いただければ幸いです。
コロナ禍を契機として人々の暮らしぶりや仕事の仕方が大きく変わろうとするいま、一部の印刷物がその役割を終えていくのはやむ得ないことといえましょう。しかし我々の仕事は印刷物を作ることだけではありません。我々は「人々の暮らしを彩り幸せを創るHappy Industry」なのです。
2021年が皆様にとって進化の一年となりますよう、心よりお祈り申し上げ新年にあたっての挨拶といたします。
令和3年元旦
神奈川県印刷工業組合 理事長 江森克治